【FRANK FRIDAY】
BAD HOP / BAD HOP

【FRANK FRIDAY】
BAD HOP / BAD HOP

BAD HOPのセルフタイトルアルバム。

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東京都と横浜市に挟まれた神奈川県川崎市と聞いてあなたは何をイメージするだろう? 一般的には川崎大師、ラゾーナ川崎、そして工場地帯、といった感じだろうか。私なら高速道路から横目に見える広大な工場地帯をまず一番最初にイメージする。昼間は工場の規模感に圧倒され、夜になれば工場のライトが点灯し美しい銀色の夜景へと一変するのだ。これから紹介する川崎の川中島、池上からHIPHOPを発信する「BAD HOP」というクルーは私が抱く川崎のイメージそのものの様に感じる。

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2014年3月にフィジカルリリース(現在廃盤)されたクルーコンピレーション「BAD HOP ERA」で初お披露目となったBAD HOPは高校生ラップ選手権で優勝を果たしたT-Pablow 、YZEERを軸とした20歳前後10人以上の大所帯HIPHOP/RAPクルー。同年2014年9月にはフリーミックステープ「 #badhopbox 」をリリースし大きな話題を呼んだ。それから1年も経たない間にリリースされた1stアルバムが本作「BAD HOP」だ。ちなみにZEEBRA主催レーベル「GRAND MASTER」に所属しているT-Pablow 、YZEERによる2WINとBAD HOPのオフィシャルホームページのみのフィジカル セット販売という珍しい形でリリースされている。

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M1「B.H.G」はスリリングなビーツに対し、自らをYoung O.G.と称し川崎、川中島、池上をレップするYZEERとTiji jojoによるもの。曲中で彼らは地元をサウスサイド川崎と呼んでいるが、サウスサイドシカゴのチーフキーフとの親和性を感じさせる。

M3「STAY」ではそのチーフキーフによるあまりにも有名なワード「バイン!バイン!(BANG! BANG!)」などのかぶせも飛び出すハードコアなスタイルは圧巻だ。

M5「GAME OVER」はダークなビートに薄暗く暴力的なリリックは現実に対する絶望感が襲う生々しい内容だ。

M6「New Root」は2vers目のBenjazzyがリリックだけではないスキルを証明した強烈な作品。持ち味であるファストフローをキープしながら後半にはガナるような声質に変化するグラデーションの妙が味わえる。

M7「M.O.M」はメロディアスな歌い回しがクセになるTiji jojoによるフックが印象的。 前作のミクステ「#badhopbox 」の中でのTiji jojoのソロ曲「EXIT」、「GOOD LIFE」は一部のファンに人気のタイトルなのでこちらも合わせてチェックしていただきたい。

M8「Liberty」はつまり自由の意味だが、ここで語られるのは「現実からHIPHOPで抜け出す」夢と願望、未だに自由は掴みきれていない苦悩を物語っているものの、T-Pablow と Yellow Patoのリリックはとてもポジティブなメッセージとして伝わるこのアルバムを代表する好作品だ。

M10「Doesn’t Matter」は今までのBad Hopの作品の中でも珍しいバウンス感の高いTwerkin’なトラック。パーティー感のあるリリックがトラックとの相性も良く、フロア向けな曲となっておりDJのプレイリスト入り確実だろう。

ラストM11 「Rainy Dayz」はMiraclesサンプリングのフィナーレに相応しい壮大な曲をもってアルバムは終了する。

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ここで紹介しきれない彼らのリアルな川崎での暮らし、バックボーンはVICE JapanのYou Tubeチャンネルで公開中のドキュメンタリー「MADE IN KAWASAKI 工業地帯が生んだヒップホップクルー BAD HOP」を視聴することをオススメする。

さらに映像クリエイターGhetto Hollywoodがディレクションしたアルバム収録曲のMVがBAD HOPのYOU TUBEチャンネルから視聴することができるのでそちらも是非チェックしてみてほしい。

最後に、アルバム全体が良いバランスを保っている理由として、多くの次世代アーティストの作品を手掛けているトラックメイカーASTRO HOUNDのビーツの功績は大きいだろう。さらにBAD HOPは2016年1月には新作ミックステープがリリース予定だ。

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Text by Sir Y.O.K.O.PoLoGod.