【FRANK FRIDAY】
KOHH / DIRT

【FRANK FRIDAY】
KOHH / DIRT

世界各地で次々生み出され、溢れ出るようにリリースされていく新しい音楽。その無限ともいえる数の音楽の中から独断と偏見で1枚をピックアップ。解説と感想、そしてその音楽とアーティストにまつわる物語を華の金曜日にみなさまの元にお届け。週末を素敵な音楽とともに快適に過ごしていただけたら、という思いを込めてスタートする新企画。その名も『FRANK FRIDAY』。レビューを担当していただくのはSir Y.O.K.O.PoLoGod.。個人でのDJ活動の他、DJユニット「Threepee Boys」、そして「妄想MUROナイト」「今夜が田中面舞踏会5前夜祭」等のイベント主催、アートブック 「LEGEND OF JAPANESE HIPHOP FLYER」の制作、「MOUSOU PAGER」ラッパー兼トラックメイカーなど、多岐にわたる活動を行いつつ、レコードショップCOCONUTS DISK YOYOGIの店長も務める多忙&多才な男。それでは、記念すべき第1回はGUNSMITH PRODUCTION所属、KOHHの『DIRT』。

Text by FRANK WHITE

 

KOHH / DIRT

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1. Be Me (Prod by I-DeA)
2. Dirt Boys feat. Dutch Montana & Loota
3. Living Legend (Prod by Deedotwill)
4. Now (Prod by Taz Taylor & MJNichols)
5. 一人 (Prod by MURASAKI BEATZ)
6. Tokyo (Prod by Nate J.)
7. 違う一日 feat. J $tash (Prod by 理貴)
8. If I Die Tonight feat.Dutch Montana, SALU (Prod by JESUSJUiiCE)
9. 死にやしない (Prod by KFX KICKS PRODUCTIONS)
10. 社交 (Prod by 理貴)
11. Glowing Up feat.J $tash (Prod by 理貴)
12. 気楽にやる (Prod by 理貴)
13. 俺らの生活 feat.Dutch Montana, Mony Horse (Prod by xXx Productionz)

 

なんとKOHHは2015年中に3作品をもスピードリリースしている。2ndアルバム「MONOCHROME」(2014)よりもリリースが後発であることが話題となった2015年1月発売の前代未聞の1stアルバム「梔子」、さらに人気ミックステープシリーズ「YELLOW T△PE」の3作目を2015年6月にリリースし、2015年の3作品目となる3rdアルバム「DIRT」が2015年10月に発売された。超多作なKOHHはKeith Ape / It’s G MAでの客演、絶え間ないM.V.の発表に加え、NUBIAN原宿店で先行発売されたパリ発のブランド「HYPE MEAN NOTHING」とのコラボTシャツ、CD+DVD+BOOKLET+LIVE TICKETがセットとなった「DIRT COMPLETE BOX」を400セット限定で先行販売する等、、、話題性の強いプロモーションもあり「DIRT」は発売前から注目度の高い作品となっていた。

M1「Be Me」はイントロの役割を担ってるが、アウトロと言われても違和感がないほどに落ち着いたI-DeAによるビーツに合わせゆったりと感情を吐き出す。ここではKOHHがこの数年で経験してきた事と自らの精神をストレートに表現している。

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M2「Dirt Boys」はもはや安定のメンツながら期待感の強いDUTCH MONTANA、LOOTAが参加。本アルバムのキーワードとなっている「Dirt」は汚れ、埃などの意味があるが、ここでは汚れている見た目でも「埃=誇り」を持ちながら生きて行くとの証明を展開している。感情を引きずり出すようなスリリングなTRAPビーツはLOOTAによるもの。MVが先行ドロップされている。

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M3「Living Legend」はなんとOG MACOのProduceもしているOrange County.C.A.の新鋭ビートメイカーDeedotwillの手によるもの。シンプルながらウワ物とベースラインの迫力が高揚感を与えるドラッギーなトラック上を勢い良く乗りこなすKOHHは今を生き続け、願っている全てを勝ち取る意欲に溢れている。

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M4「NOW」、M8「If I Die Tonight feat.Dutch Montana,」辺りは「今」に重心を置いており、その時々が一番フレッシュであることが伝わる。

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M5「一人」、M7「違う一日」、M11「Growing Up」、M12「気楽にやる」はKOHHの日常の行動をイメージさせる内容となっていてKOHH自身がリラックスしながらマイペースに目標へ向かって行動していることが伺える。

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M10「社交」のフックは聞き馴染みのない発声に違和感はあるものの内容は現代のブルース的である。そのことに気がついて以来お気に入りの曲になった。今回のアルバムの中で生と死はKOHHにとって重要なファクターとなっていることがこのアルバムから強く伺えるが、M9「死にやしない」は「死ぬこと以外はかすり傷」と堂々とした生き様を展開する。人間の死様に関して若いうちに自身なりに悟りかけている事には驚愕した。

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リリックをじっくり噛み締めながら何度も何度も再生していると次回作でこれ以上の生き様を披露する事があるのか?と疑問が浮かぶほどリアルな生き死についてのワードが強烈に響くアルバムだ。ここ1年間の動きをインターネット中心に追いかけているが、彼はアメリカからパリ、時にはアジアなど様々な国へのフライトを繰り返しながら時に地元にたどり着く。まるで生き急ぐような多忙な生活を送っている。その先先で受けた影響の全てがこのアルバムで吐き出されているのだろう。研ぎ澄まされた感性、発想力、体感したことを吸収し、すぐ様、具現化する姿勢はジャンルを問わず、多くのアーティストが見習う点であることも思い知らされた。次への展開も驚く様な噂を耳にしているが、いずれにせよ時が来ればわかる。黙って次の展開を楽しみに待つ事にしよう。

 

Text by Sir Y.O.K.O.PoLoGod.