【FRANK FRIDAY】
KANYE WEST / THE LIFE OF PABLO

【FRANK FRIDAY】
KANYE WEST / THE LIFE OF PABLO

Kanye Westの最新アルバム「The Life Of Pablo」。

毎日様々な情報を得るために国内外問わずWebページを見回しているが、ここ数週間でほぼ毎日のように目にするラッパーがいる。それはKanye Westだ。Kanye WestのTwitterの発言は毎ツイートに対し何千、何万もリツイートされている。その発言はすぐさまSNSやWebでニュースになるほど話題性の高いものばかりだ。最新アルバムに収録されている”Famous”のリリック『あのビッチを有名にしたのは俺』をめぐってはビッチ呼ばわりされたTaylor Swiftサイドと揉めたり、急に60億円にも及ぶ借金を背負っていることを公言し、Facebookの創設者Mark Zuckerbergに約1100億円の投資をしてくれと勝手に求めたり、ごく最近ではロック界のレジェンド”Bob Ezrin”によるKanye West評に対して皮肉をツイートしたりと彼のSNSは毎日忙しい。特に印象的なのは最新作のアルバム・タイトルの件だろう。”WAVES”、”SWISH”、”SO HELP ME GOD”などと思いつきのまま二転三転し、そして”SWISH”と正式にタイトルが決定し、リリース日も確定したした数週間後にはまたもやタイトルを”WAVES”に変え、Wiz khalifaがタイトルを好ましく思っていないことをTwitterで公言したことから軽いBeefを繰り広げ、最終的にはTwitterにて、”THE LIFE OF PABLO”としてリリースすることを発表した。しかも初回販売はストリーミングサービス”TIDAL”(ちなみに国内からは購入不可となっている)からだけという、果たしてこれは成功なのだろうか?と首を捻ってしまう様な手法だがとにかく無事に7thアルバムがリリースされたことはHIPHOPファンにとっては嬉しい出来事なはずだ。日頃のTweetやゴシップ、ADIDASのYEEZYシーズン3の発表会やら音楽以外の話題は尽きないが、肝心のアルバムの内容をレビューしていこうと思う。

Kanye Westらしい”GOD”について歌った曲M1”Ultralight Beam”は同郷シカゴの若手スターChance The RapperとトランペッターDonnie TrumpetKelly Priceと豪華な顔ぶれが神秘的なコーラスに埋もれたトラックで相まみれる壮大な楽曲からスタートする。既に前作の続きを予見させるスタートだが、一味違うのは時代にマッチする旬なプロデューサーの起用だろう。近年の重要MIXTAPEで名を上げてきたセントルイス出身の若干22際のプロデューサーMetro BoominKid Cudi参加のM2”Father Stretch My Hands, Pt. 1”はSoulfulなメロートラップ、続編M3”Father Stretch My Hands, Pt. 2”はブルックリンのラッパーDesiigner参加曲となっているが、実際にはDesiignerの”PANDA”と言う曲がほぼそのまま収録されている。そしてイントロでも触れたTaylor Swiftをビッチ呼ばわりしたリリックが登場するM4”Famous”は共同プロデュースにMobb DeepのHAVOCが参加。ハードコアな雰囲気が漂うトラックとラストのレゲエな展開が素晴らしく、Rihannaのボーカルも美しいセンスが光る一曲。M5”Feedback”は前作”Yeezus”を彷彿させるノイジーなビーツにフリースタイル的なワードが飛び出し、後半にはPublic EnemyFlavor Flavの様な歌い回しのバースが挿入されているのも面白い。

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超豪華な参加メンバーの中でも楽しみの一つだった組み合わせがフィーチャリングYoung ThugなM7”Highlights”。Kanye Westらしい空に舞う様なメロディの展開にDJ MUSTARD的なビーツが混ざり合い、最高に気持ちが良い整合性の高い一級品となっている。Young Thugの「Sometimes I’m wishin’ that my dick had GoPro So I could play that shit back in slo-mo I just shot an amateur video (思うんだ、俺のブツにGo Proが付いてたら、ヤバイ時をスローモーションで巻き戻す事ができるぜ~)」の一節は流石のパンチラインだろう。ブッとんだミニマルトラックM8”Freestyle 4”、そして最近のKanye Westの精神性がもろに露呈したような謎?な珍曲 M9”I Love Kanye”はアカペラなので勝手にRemixされたブートレッグも登場するなど既にネタにされている模様。

M10”Waves”はプロデューサー陣がすごい組み合わせとなっている。ビート系~ベースミュージック界隈でも有名なHudson MohawksとMetro Boominが凄まじいほどの奥深いシンセ、抜けの良いベースにトラップビーツを巧く掛け合わせたサウンドを作り出している。文句なしに素晴らしい。M12 “Real Friends”はTy Dolla $ign参加曲。寂しげなシンプルビーツの上にKanye Westがとても懐疑的になっている事が伺えるリリックが並ぶ。M15 “30 Hours” はOUTKASTのAndre 3000が参加しているがこの起用ができるのはKanye Westならではだろう。曲自体は新しい雰囲気ではなく、やや懐かしいKanye節だ。この雰囲気作りにはドラマーKarriem Reggins一役かっている。このアルバムの中でも個人的に気に入っているMadlibプロデュース曲M16”No More Parties In LA” は客演のKendrick Lamarの出身に合わせてなのかLAでのセレブリティなパーティーでの出来事を展開する。何よりもMadlibがサンプリングネタにチョイスしたP-Funk系アーティストJunie MorrisonのSuzie Thundertussyが渋い味を出している。
NIKE DIS ソング M17 “Facts”はラップのスタイルに賛否両論あるがトラップ的なアプローチにクレイジーフローはかなりフリーキーで最高だ。スキルフルなKanye Westの本気が垣間見れるので掴まされる。そして最後は予想すらしていなかったシカゴ・ハウスのクラシックスMr. Fingers の “Mystery of Love”をメインにサンプリングした極上トラック。ここではハウス・クラシックスの声ネタまで織り交ぜておりセンスの高さを感じた。このアルバム全体を聴いてみると、Kanye West自身が影響を受けてきた音楽ジャンルやカルチャーをすべて取り込んだ作品なのかと思えたが、実際Kanye Westの思考は今の所掴みどころがなくまったく読み取ることはできない。しかし素晴らしく迷走した超豪華な作品として2016年に記憶に残る一枚であることは間違いないだろう。とにかく早いこと日本国内で販売される事を強く願う。

Text by Sir Y.O.K.O.PoLoGod.
KANYE WEST / THE LIFE OF PABLO

Tracklist

1. Ultralight Beam ft. Chance The Rapper, The-Dream and Kelly Price

2. Father Stretch My Hands Pt. I ft. Kid Cudi

3. Father Stretch My Hands Pt. 2 ft. Desiigner

4. Famous ft. Rihanna and Swizz Beatz

5. Feedback

6. Low Lights

7. High Lights ft. Young Thug

8. Freestyle 4 ft. Desiigner

9. I Love Kanye

10. Waves ft. Chris Brown

11. FML ft. The Weeknd

12. Real Friends ft. Ty Dolla $ign

13. Wolves ft. Frank Ocean

14. Silver Surfer Intermission

15. 30 Hours ft. André 3000

16. No More Parties In LA ft. Kendrick Lamar

17. FACTS (Charlie Heat Version)

18. Fade ft. Ty Dolla $ign and Post Malone