【FRANK FRIDAY】
DANNY BROWN / Atrocity Exhibition

【FRANK FRIDAY】
DANNY BROWN / Atrocity Exhibition

私は中古を中心としたレコード店で、所謂”レコ屋の店長”としてココナッツディスク代々木店で働いている。CD、レコードはHIPHOPから派生した様々なジャンルをセレクトしているが、レコードだけじゃなくて本、DJ機材,AV機器なんかも取り扱っている。商品の90%は国内買い付け、店頭買取によるアイテムばかり。その中から取り扱いたいアイテムを選定し店頭やWEB SOTREへ出品して販売している。最近はカッコつけて国内買い付けと呼んでいるけど、まぁ、お客様のご自宅に伺ってその場で買取、支払いまで行う”出張買取”システムのこと。

私が伺うことも多々あるけど、ほとんどが社長の仕事。ココナッツディスク社長“里村”は数多くの買取の現場に立ち会っているプロだが、レコード買取のついでに面白い買取の依頼を請けることもある。貴重な物で言えば音楽、映画会社のリールテープ、とんでもない額のレコードなど、さらに面白い物で言えば、大量の販促品、NIKEのスニーカー、VINTAGEのカメラ、ルアー、モデルガン、大刀などなど。今日も大量の腕時計が店に運ばれてきたばかり。いったいココナッツディスクは何屋なんだろうと思う時もあるけど、このレコード以外の物もとてもフレッシュで面白い。この様に物が湧き水のごとく湧き出て、その中にとんでもないお宝が眠っていたりするからやめられない。この様な仕事を続けていた弊害としてレコードだけでは満足しない今の自分になってしまった様な気もするが、今ではそれが誇らしくもある。仕事でも延々と物と対面しているのに、個人でも休みの日には外に出て様々な場所、ショップでの物を探しを十数年続けている。その結果、物は増え続ける一方で、段々と窮屈になる部屋を整理しようとコレクションをチェックしていると愛着が溢れて整理は難航してしまうことがしばしば。。レコードも同じ様なことが起こる。久々に目を通したレコードに針を落とすと新たな発見があり、そこからまた新たなレコードが欲しくなる。また物が増える。それを繰り返すことでコレクターの自我からどんどん身になっていくのだろう。

なんでこんな事を書き始めから言っているのか? それはDANNY BROWNの新作を聴いて感じた事が”繰り返された様な懐かしさに新たな出会いを加味した様なアルバム”だったから。

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DANNY BROWN – Atrocity Exhibition

 

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DANNY BROWNは81年生まれデトロイト出身、元ドラックディーラー、現在31歳の人気ラッパー。2010年にリリースされた1st スタジオアルバム“The Hybrid”が話題となりスターラッパー街道のキャリアをスタートする。見た目の強力なインパクトも去る事ながら、オーセンティックなビートに狂人の片鱗を見せつけたクレイジーなフローは耳を引きつけた。 Roy Ayers, LL Cool J, Esham and A Tribe Called Questを聴いて育ったというが中でもDetroit Hip Hop のパイオニアであり、ACID RAPの開拓者であるEshamの存在はかなり大きいはずだ。

 

2011年にFool’s Gold Recordsからリリースされた“XXX”はアートワークの奇抜さもウケ、ヒットアルバムとなり、続く2013年リリースの“OLD”も海外の有名サイトでも取り上げられた名作だ。RAPPERの参加メンバーも豪華で、Freddie Gibbs, ASAP Rocky, Schoolboy Q, Ab-Soul,等が参加、プロデューサーは陣はとてもバラエティに富んでいてでBadBadNotGood、Corin Roddick、Darq E Freaker、Frank Dukes、JMIKE、Oh No、Paul White、RustieSkywlkrなど旬とアンダーグラウンドな面子が顔を揃えていた。

 

そして2016年、3年ぶりの4thアルバム”Atrocity Exhibition”がリリースされた。レーベルは数々の名クラブミュージック作品を世に送り出している名門Warpからのリリース。
ProducerにPaul WhitePetite NoirBlack Milk、Playa Haze、Alchemist、Evian Christが参加。Experimental HIPHOPの名を汚す事のないサウンドを持った楽曲が並ぶ。

オリエンタルムードの高いイントロダクションM1 “Downward Spiral”からFOLK RAPを披露し、スペーシーなほぼビートレスなプログレッシブなトラックM2″Tell Me What I Don’t Know”へと流れ込み、ベルギー、ブリュッセル出身のシンガーPetite Noirとのブリストルサウンド的なアブストラクトトラックが美しい。そして本アルバムの1番の目玉として用意されたであろうM4”Really Doe”は Kendrick Lamar、Ab-Soul 、Earl Sweatshirtが参加。ベル音をホラーめいたメロディーとして使用したBOOM BAP。この流れにのる四者四様なマイクリレーが圧巻のタイトルだ。

 

今まで聴いた事のない変化球すぎるホーンループに4つ打ちが強力なダンストラックトラックM6″Ain’t It Funny”、60’s Garage,Phychなサンプリング曲M7”Golddust”、M10″Dance In The Water”はDANNY BROWNの音楽性もこの辺のオリジナル楽曲に興味を持っている事が伺える流れとなっている。Kelela参加の話題曲M11″From The Ground” 、Brownの真骨頂とも言えるGRIME的な前のめりなラップが全開なM12 “When It Rain”はMVからも伺える強力なACID RAPとなっている。

 

これまたGRIMEスタイルなM13″Today”、そして意外だが中毒性の高いメローチューン M14”Get Hi”はCYPRESS HILLのB-Realが参加したフライな一曲となっている。全体を通してExperimentalを極めたかの様な内容でかなりドープな作品となっていて、HIPHOPとしてはかなりドラッギーな部類になるので用心深く作品に触れる事をオススメしておこう。

Tracklist

1. “Downward Spiral”
2. “Tell Me What I Don’t Know”
3. “Rolling Stone” (featuring Petite Noir)
4. “Really Doe” (featuring Kendrick Lamar, Ab-Soul & Earl Sweatshirt)
5. “Lost”
6. “Ain’t It Funny”
7. “Goldust”
8. “White Lines”
9. “Pneumonia”
10. “Dance In The Water”
11. “From The Ground” (featuring Kelela)
12. “When It Rain”
13. “Today”
14. “Get Hi” (featuring B-Real)
15. “Hell For It”

Text by Sir Y.O.K.O.PoLoGod.